日本人の乾癬患者の腸内環境を整えるのに最も有効なのは当然、日本食です！

腸内環境を整えるためには、毎日の生活習慣を見直さなければなりません。その中でも、最も考えなければならないのが普段の食生活です。長い歴史の中で食生活は変化し続け、それは昭和と平成の間だけでも大きく変わっています。

より便利に、より手軽に、よりおいしくなりつつある食生活ですが、腸への影響を考えるとむしろどんどん悪くなっているのが事実です。腸内環境を整える食べ物、それは昔からある日本の伝統食品の数々なのです。

腸内細菌を増やす

私達が日頃健康に生活できるのは、免疫細胞が体に悪影響を及ぼす異物から身を守ってくれているからです。何度もお話しているように、これらの免疫細胞を正常に機能させるには、免疫細胞の棲家である腸に存在する腸内細菌（善玉菌、悪玉菌、日和見菌）のバランスの良い分布（＝腸内環境の正常化）が必要です。

乾癬患者の腸内環境は間違いなく悪玉菌が多すぎる状態にあります。あなたの食生活の乱れが原因で腸内の善玉菌は疲れきってしまっているのです。腸内細菌のバランスを整えることで免疫細胞は正しく機能し、体を健康に保つようになるのです。

そんな腸内細菌を増やし、元気にするためのものが発酵食品です。日本古来の味噌、しょうゆ、漬物、納豆、これらはいずれも腸内細菌に大きなプラス効果をもたらします。（但し、納豆に関しては、乾癬が悪化した患者さんもいるようなので注意が必要かと思います。）前述した食品はいずれも昔からあるものばかりです。今では味噌や漬物を口にする機会は激減し、それどころかこれらの食品を嫌う人まで多くいます。

ここで勘違いしてはいけません。僕は「味噌や醤油を大量に摂りなさい」といっているわけではありません。野菜、果物、海草などの食物繊維、魚に含まれるDHA、それに味噌や醤油などの発酵食品・・・これらをバランスよく食べることで総合的に腸内環境の正常化を図る必要があるのです。さらに、よく噛んで食べることも忘れてはなりません。噛む行為は正常な消化の第一歩なのです！

乾癬の治療において、どんなに効果のある治療法であっても、「やりすぎは毒」にしかなりません。「たくさんやる」ことが重要なのではありません。最も重要なのは「継続してやる」ことです。

便秘解消に効果的な食品

便秘を軽視する人が多いですが、実際には便秘は身体の健康を脅かす怖い症状です。身体の免疫細胞の６割以上は腸内に存在しています。つまり、免疫細胞にとって腸は「家」であり、便秘になると腸内に溜まった便が毒素となり「家」を汚してしまいます。

棲みかを汚された免疫細胞は力を失い、正常に働けなくなってしまうのです。と言うことは、便秘は腸内環境を悪化させ、免疫機能を低下させてしまうわけです。この状況を改善するには、食物繊維を正しく摂取することです。

果物、海藻類などに含まれる水溶性食物繊維は、便を柔らかくして排便しやすくしてくれます。また水溶性食物繊維は腸内毒素を吸収する働きもあるので毒素排出の鍵は果物・海草にあるといっても過言ではありません。

一方、穀物などに含まれる不溶性食物繊維は、摂取しすぎると便を固くさせてしまうものの、便のかさを増やしてくれるので腸に溜まった不要物をより多く便に加えてくれます。

それぞれの特徴から分かるとおり、便秘対策としては水溶性食物繊維が効果的です。便秘解消のために芋類をたくさん食べる人がいますが、これではますます便が固くなってしまいます。果物や海草を多めに食べるべきです。しかし、腸を綺麗にするという点では、便のかさをふやす不溶性食物繊維を摂取することも必要です。大切なのは一方に偏るのではなく、それぞれのタイプの食物繊維をバランスよく摂取することです。

腸内環境が悪化している現状

ここで説明してきたように、日本伝統の食べ物が腸内環境を整える上で高い効果を持っています。それなら、日本人の私達は本来なら理想どおりの腸を持っているはずです。しかし、残念ながら現在の食生活では腸の環境は悪化する一方です。

手軽なファーストフード、ジャンクフード、インスタント食品の利用など、食事に対して栄養ではなく、現在では手軽さや味だけが重視されています。その代償となってあらわれているのが、乾癬なのです。

中にはこのように疑問を持つ方もいるでしょう→「確かにマクドナルドやカップヌードルは好きだが、他の人に比べてたくさん食べているわけではない。なのにオレだけがどうして乾癬になったのだ？」・・・答えは簡単です。「あなたは普通の人と同じように食べていては乾癬になる体だからです。」つまり、乾癬であるあなたはもっと食事に気をつけなければならいということです。