乾癬患者の皮膚はあなたの心を映す鏡。掻破行動(そうはこうどう)とストレスの関係。
皮膚の状態で乾癬患者の心の状態がわかる
皮膚というのはちょっとした心の動きを反映する機能を持っています。
例えば、恥ずかしい時に顔が赤くなる、怖くて蒼白になる、寒くて鳥肌が立ったり、緊張したり不安があると顔や背中、手のひらなどに汗をかくことがあります。
これ以外にも様々な感情で皮膚表面が変化することがあります。
喜び、悲しみ、驚き、怒り、恐れ、不安などの心の動きが皮膚に出ますが、これらは一過性の強い感情の変化によるもので自律神経(交感神経)の緊張が持続することで起こります。
皮膚表面の変化だけではなく、呼吸、血液循環、消化、分泌などに変化が見られます。
殆どのケースは一過性のものなので時間の経過とともに収束していきますが、頻繁に起こったり持続的になる場合もあります。
そのようなケースでは治療をおこなうことになりますが、改善しない場合は心の問題を抱えていることが考えられます。
心の問題は目に見えず、本人だけにしか理解できない苦しみやストレスですから、根本的な解決法となれば神経内科などでの診断を合わせて行う必要があります。
こういった形で皮膚に症状がでて場合によっては掻破行動に走るような人は真面目な人が多いとも言われています。
つまり物事に正面から向き合い過ぎて、過度のストレスを受け流せない結果として掻破行動などに繋がっている考えられるのです。
乾癬患者にも同様のことが言えます。
乾癬患者の性格で多いのが…
- 真面目・几帳面
- 神経質
- ストレスの多い職業・生活環境
- 気分転換が上手にできない
真面目というと語弊があるかもしれませんが、問題に直面した場合に気分転換が上手にできるかどうかという言い方ができるかもしれません。
乾癬患者のストレスによる掻破行動
乾癬患者の掻破行動の殆どは痒みの元となる原因があって起こる衝動ですが、場合によっては痒みが無いにもかかわらずポリポリと皮膚を掻いてしまう、「掻き癖」という掻破行動が見られます。
掻き癖による掻破行動の具体的な例をいくつか挙げてみましょう。
イライラによる掻破行動
仕事などで思うように捗らない場合などに、頭を掻いたり髪の毛をくしゃくしゃと引っ張ったりする現象です。
プレッシャーによる掻破行動
過度なプレッシャーを受けた場合などに、鼻、頬、アゴ、まぶたなどを掻いたり、目をこすったり体を揺らして落ち着きのない行動をする人がいます。
これは体に触れることによって、精神的に落ち着こうとしている一種の防御反応です。
このような掻き癖はストレスが過大になればなるほどエスカレートする傾向にあります。
中には頭をぶつけたり、出血するほど頭皮を掻きむしったり、髪の毛を抜いたり自分で頬を叩くなど過剰な行動に発展していく患者さんもおられます。
乾癬による皮膚炎は搔きむしったところに新たに炎症がひろがり、掻けば掻くほど悪化してゆきます。(これをケブネル現象といいます。)
これがさらにストレスとなり、掻破行動がどんどんひどくなる悪循環に陥る場合が非常に多いです。
もはや、掻くというよりも自傷行動に近いわけですが、痛みを受けることによって一時的とはいえストレスが打ち消されることが分かっています。
これらは適切な皮膚ケアの方法を指導されてこなかった乾癬患者に多く見られる洗い過ぎ、擦り過ぎのような過剰ケアにも通じるところがあります。
そして厄介なことに、これらの掻破行動の多くは睡眠中など無意識にやってしまうことが多く、朝起きたらふとんが血まみれになっていたという事も良くある話なのです。
もし気が付かないうちに頭皮や顔、体などに引っ掻いたような痕があったり、炎症が見られるようなことが繰り返し起こる場合は「睡眠中の掻き癖」を疑ってみましょう。
乾癬患者の掻破行動は依存症に近い
掻破行動は単に痒いから行うわけではなく、ストレス下において自己防衛手段として何となく掻いてしまうケースがあります。
この掻破行動は痒いというよりは、ストレスを発散させるために習慣化したある種の依存症に近い掻破行動と言えます。
無意識で掻いていたり、掻き出すと止まらないという人もいますし、気がまぎれる、スッキリする、安心するという心理的な快楽を伴うことによって掻破行動は繰り返し行われることになります。
これらの行為を嗜癖的掻破行動と呼んでいて、日常的に皮膚を掻破し、特定箇所を何度も損傷し続けるので…
ステロイドを使用しているにもかかわらずいつまで経っても生活の質が向上しない乾癬患者は非常に多いです。
この嗜癖的掻破行動がきっかけで発症しやすいのが、尋常性乾癬、及び、成人型アトピー性皮膚炎といわれています。
他にも脂漏性湿疹、赤ら顔、自家感作性皮膚炎、慢性痒疹、急性湿疹なども嗜癖的掻破行動によって発症、悪化させることがわかっています。
ストレスによって引き起こされるため、ストレスを根本的に解消しなければなりませんが、まず掻破行動を自分で認識することが大事です。
掻破行動を繰り返す限り、治療を行っても改善が難しくなり再発を繰り返します。
何となく痒い、掻くのが習慣化している、いつの間にか赤くなっていたなどの症状がある場合は、嗜癖的掻破行動の可能性を疑ってみましょう。
このサイトは元乾癬患者の実体験をもとに皮膚科専門医の監修の下、記事をチェックしています。
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