乾癬患者が最も苦しむ”痒み(かゆみ)”/痒みとは何か?どうして掻きたくなるのか?
皮膚がムズムズ痒くなることは誰しもが経験したことのある感覚ですが、そもそも痒みとは何なのでしょうか。
痒みは「引っ掻きたい」という掻破行動(そうはこうどう)を引き起こす不快な感覚と定義されていて、痒み=掻きたい衝動を誘発する原因なのです。
ではどうして痒くなると引っ掻きたくなるのでしょうか?
これは人体の防衛本能が深く関わっています。
伝染病を媒介する蚊、ノミ、ダニ、昆虫、寄生虫、病原体、毒物などからの刺激や攻撃を痒みという感覚で検知し、掻破行動を誘発させることで身体に侵入してきた異物を排除しようとするのです。
皮膚が異常を引き起こしているので、除去しなければいけないという生体防御反応です。
引っ掻いてしまうのは、痒みの原因を取り除くための行動であり、自分を守るために行っている”動物の本能”であると言えます。
自己防衛本能によって引っ掻いてしまうわけですが、引っ掻くと言う行動は、皮膚にとって結果的に症状の悪化、炎症箇所の拡大、無数の引っ掻き傷による出血など肉体的なダメージを負うケースが大半です。
自己防衛なのに自分を傷つけて悪化させてしまうなど、本末転倒なわけですが痒みが掻破行動を誘発しているのは本能がそうさせているので、我慢するのは逆に苦痛になります。
痒みは外部からの刺激や侵入だけでなく、体の内側から引き起こされる皮膚疾患もあり、これらは掻き毟ることで症状が悪化してしまい難治性の皮膚疾患になることが懸念されます。
その代表的なものが乾癬やアトピー性皮膚炎です。
痒い所を掻くと気持ちイイのはなぜ?
痒い所を掻くとなぜか「気持ちイイ」と感じることが多いですが、どうしてでしょうか?
これは痒い部分を掻くことによって、快楽ホルモンと呼ばれるドーパミンが分泌されることで気持ちがイイと感じているのです。
これは痒い部分を掻く掻破行動に対する「成功報酬」と考えられています。
自ら皮膚を引っ掻き損傷させた結果、痛みが引き起こされては異物を排除するという掻破行動を人間が取らなくなってしまいます。
そこで、ドーパミンを分泌させることで報酬を与え掻破行動を維持しようとする体の仕組みと言えるでしょう。
脳の中では報酬系と言われる部分があり、それは「ある種の行動」、「ある物質を摂取」などの行動を起こすと強く反応します。
この報酬系の中にドーパミンなどの快楽ホルモン分泌が含まれています。
一度でもこの報酬系の快感を覚えてしまうと、自分ではダメだと思っていてもその行動を辞めることができない場合があります。
これは「行動の結果として得られる快楽があまりにも強い場合」が挙げられます。
自分の意志で辞めることができない状態のことを「依存症」と言いますが、乾癬による痒みは掻破行動による快感により、寝ている間なども無意識の状態で行ってしまう一種の依存症です。
困ったことに乾癬の痒みは皮膚炎の症状が出ていない部分にも感じるため、綺麗な皮膚を掻き毟ってしまい、ケブネル現象により新たに皮膚炎ができる悪循環に陥る患者さんが非常に多いです。
※ケブネル現象とは?⇒症状がない皮膚を掻いたり傷つけたりすると新たに皮膚炎ができること
このことは、乾癬の痒みから脱出したいと思っている人にとっては深刻な問題です。
これからしばらくの間、乾癬患者の大敵である”痒み”について、皮膚科専門医の監修の元、僕の知っている範囲で書いていこうと思います。
※このサイトは元乾癬患者の実体験をもとに
皮膚科専門医の監修の下、記事をチェックしています。
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